病気解説シリーズ


インスリン


糖尿病 前編

糖尿病は「国民病」といわれるほど実は身近な病気です。

正しい知識を身に付けて予防や改善に役立てましょう。

 

糖尿病ってどんな病気?

糖尿病は細胞がエネルギー源であるブドウ糖を取り込めなくなって、全身に様々な障害が起こる病気です。

まず始めに、身体が糖を利用するしくみについて見てみましょう。

 

◎ブドウ糖は身体のガソリン

私たちは生命を維持するために、色々な食物から栄養を取り入れています。

特に、炭水化物・タンパク質・脂質は3大栄養素といわれ重要な働きがあります。

 

唯一のエネルギー

 

中でも、米・パン・芋・果物などに多く含まれる炭水化物は消化されてブドウ糖となり、血液の流れに乗って全身に運ばれ細胞のエネルギーとして使われます。

この血液に溶けたブドウ糖の濃度を『血糖値』といいます。

 

血糖値は高すぎても低すぎても身体に支障が出ます

●高血糖(血糖値 126mg/dl以上が継続)
 糖尿病の各症状

●低血糖(血糖値  60mg/dlを下回る)
 倦怠感、動悸、ふるえ、意識障害など

 

◎血糖利用にはインスリンが必要
インスリン

 

血糖値は膵臓から分泌される『インスリン』というホルモンによってほぼ一定の範囲にコントロールされています。

インスリンは身体の中で唯一糖を下げるホルモンで、各細胞に糖を取り込むよう指令を出す一方、肝臓に働きかけ糖をグリコーゲン※という物質に変えて貯蔵させるなど、血糖値を調整します。

※グリコーゲン:貯蔵物質。肝臓や筋肉に蓄えられ、必要に応じてブドウ糖に分解されエネルギー源となる。

 

インスリンダイエットって?
ダイエット

数年前、巷を賑にぎわせた「インスリンダイエット」は、インスリンの分泌量が少なければ脂肪ができにくいという理論を応用したものです。

インスリンには余分な糖を脂肪細胞に蓄えるという働きがあるため、炭水化物の摂取量を減らしたり、炭水化物でも血糖値の上がりにくい全粒穀物や豆類などの食品を食べることが提唱されました。

 

◎糖尿病はインスリンの作用不足で起こる

血糖を調整するインスリンが十分に分泌されなかったり、うまく作用しないと、ブドウ糖が細胞の中に取り込まれなくなり血液中にあふれ出す高血糖の状態になります。

 

ドラム缶

 

そして、この症状が進むと糖が尿に漏れ出すようになります。「糖尿病」という名前はここからきています。

糖尿病になると血液中にはたくさんの栄養(糖)があるにもかかわらず、細胞は糖をエネルギーとして利用できず栄養不足に陥ります。

すると、身体の各機能が正常に働くなり、血管や神経などで「合併症」と呼ばれる特有の病気がおこります。

 

糖尿病の種類と原因

糖尿病は発症の原因やメカニズムによって、大きく4つのタイプに分けられます。

 

1型糖尿病(インスリン依存型)

自己免疫疾患。

インスリンを作る膵臓のβ細胞が、自己免疫やウイルス感染などにより破壊されて発症する。

インスリン分泌の低下、又は枯渇する。

若年層に多く、痩せ型もしくは標準体重の人が多い。

病気の進行が急速で、インスリンの治療が必要となる。

 

2型糖尿病(インスリン非依存型)

遺伝的要因に生活習慣が加わって発症する。インスリン分泌量が少ない、又はインスリンがうまく作用しない状態。

中年以降に多く、肥満を伴うことが多い。

自覚症状に乏しく、ゆっくり進行するが、食事、運動、薬物によりコントロールが可能とされる。

 

妊娠糖尿病

妊娠により、インスリンの作用が抑えられたり、栄養過多により発症する。通常、妊娠後に良くなるが、将来糖尿病になる可能性が高い。

 

その他の糖尿病

遺伝子の異常、肝臓や膵臓などの疾患、感染症、免疫異常、薬剤などで発症する。

原因が解消されれば糖尿病も改善する。

 

インスリン

 

日本では、約9割が2型糖尿病で、糖尿病になりやすい体質と、肥満・過食・運動不足・ストレスなどインスリンの働きを悪くするような生活習慣が重なって発症するとされています。

 

歴史上のあの人物も
糖尿病だった

糖尿病の最古の記録は、「大量の尿を出す病気」という記述がある古代エジブト(BC1500年頃)のパピルス文書だとされています。

日本では、平安時代の貴族・藤原道長が糖尿病であったとみられています。

藤原道長

 

晩年の道長の様子を記した「小右記」という書物に「のどが渇いて水を大量に飲む」「痩せて体力が無くなった」「背中に腫れ物ができた」「目が見えなくなった」等の記述が残っていて、道長が糖尿病の合併症で亡くなったことがうかがえます。

平安時代、糖尿病は「飲水病」と呼ばれていました。当時の貴族はこの病気にかかる者が少なくなかったようで、「飽食の時代」である現代と重なるものがあります。

人類と糖尿病のつきあいは大変長いのですね。

 

なぜ糖尿病がこわいの?

◎高血糖の症状
血糖値の高い状態が続くと、身体は尿を大量に出して糖を体外に出そうとするため、喉が渇き大量の水分を取るようになります。
トイレ ご飯

 

また、糖がエネルギーとして使われなくなるため、疲れやすく、たくさん食べても空腹感があったり、体重が減ったりします。

しかし、これらの症状は単なる体調不良と見過ごされることが多いため、糖尿病の発見や治療が遅れる原因となっています。

 

◎本当に怖いのは合併症

高血糖が持続すると血液がドロドロになり、全身の血管や神経が侵されて、様々な合併症が起こります。

その中でも、糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害は糖尿病の『三大合併症』といわれ血糖コントロールをしなければ10〜15年で発症するとされています。

 

三大合併症

 

その他の「合併症」

糖尿病が進むと・・・

・動脈硬化が進んで心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などのリスクが高まる

・免疫力が低下して感染症にかかりやすくなる

 

病院のベッド

 

・湿疹や皮膚の傷が治りにくくなり、悪化すると壊疽えそを起こす

・不眠、うつなどの症状が出るなどの障害もみられるようになります。

 

後編では糖尿病の診断基準・ストレスとインスリンの関係・自分でできる対策などを解説予定です。

 

その他にも様々な情報を取り扱っていますので、是非ご覧下さい。

 

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<参考図書・資料>
・「糖尿病のすべてが分かる本」
 矢沢サイエンスオフィス編(学習研究社)


・糖尿病ホームページ
 厚生労働省生活習慣病対策室

 

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