胃から発信されるシグナル<しくみと働き>

からだ
胃から発信されるシグナル

胃が痛い、胃がもたれる、胃がはる、食欲がない、吐き気がする…
こんな経験をされている方は多いのではないでしょうか?
食べ過ぎ、飲みすぎ、神経の使い過ぎなど、胃は体調やストレスの影響を受けやすく、私達の⽣活スタイルを反映しています。
あなたは胃から発信されている不調のシグナルをきちんと受け止めていますか?

知っていますか?胃の大きさと働き

胃はアルファベットの「J」の形で、何も入っていない時は50mL程度の握りこぶし1個分の大きさですが、食べ物を摂取することにより、成人では最大1,500~1,800mL程度にも大きくなります。

二種類の胃のはたらき

胃は大きく分けて2つの働きをします。
1.倉庫の役割:
⾷道からおりてきた⾷物を⼀時的にためておきます。

2.攪拌器の役割:
胃に⼊ってきた食べ物は胃液と混ぜられ、ぜんどう運動(胃の筋肉が収縮する運動)によって、細かく砕かれてドロドロのおかゆ状になります。
おかゆ状になった食べ物を消化・吸収するために、少しずつ十二指腸に送られます。

なぜ胃液で胃が溶かされないの?

○胃液とは?
胃の粘膜から分泌される胃液は、pH1.0~1.5の強い酸性を示します。
胃に入ったタンパク質は⼩腸で消化・吸収しやすいサイズへ分解されます。胃液ではタンパク質のみを消化し、炭⽔化物や脂肪は分解できません。

○タンパク質でできている胃は、なぜ胃液で溶けないの?
胃の内面を覆っている粘膜から分泌される粘液のおかげです。粘液が壁となって、胃酸から胃自身を守っているため、胃は自身を消化することなく、食べ物のみを消化することが出来ます。

胃が空っぽになるまでの時間は?

空腹の女性

「さっき食べたところだけど、お腹が空いてきたわ。もう消化しちゃったのかな?」などと私達は簡単に「消化」という言葉を使っていますが、食事をしてから胃が空っぽになるまでの時間をご存知ですか?胃の中が空っぽになる時間は、食べ物の量や質、種類によって異なります。

胃から⼗⼆指腸へ送られるまでの時間

○炭水化物<米、うどん、パスタなど>:約2~4時間
○タンパク質<魚、肉、卵、大豆など>:約4~6時間
○脂肪<油、マーガリン、ラードなど>:約7~8時間

通常、空腹状態になるには5〜6時間が必要とされています。私達はお腹が空いていなくても、当たり前のように1日3回の食事をとっています。その間、胃は休みなくずっと働いていることになります。
食事を1〜2食抜いた時の方が身体の調子が良いときはありませんか?飽食である現代、私達は食べ物を食べ過ぎているのかもしれませんね。ちなみに口から入った食べ物が便になるまでは約24時間です。

食後または空腹時に胃が痛むのは

胃が痛い女性

食後や食べ過ぎの痛みは、胃が荒れている証拠です。荒れた状態の胃は胃の粘膜で炎症が起きています。そこへ食べ物や飲み物が入ってきて胃が引き伸ばされると、その刺激で炎症が悪化します。夕食後などの夕方から夜にかけて胃が痛くなるのは、胃が炎症を起こしているといえます。正常な状態の胃では少しくらい拡張されても強い痛みが発生することはありません。
反対に、空腹時に痛みを感じる時の原因は胃酸過多であることが多いです。その際はコップ1杯程度の水(常温か温かいもの)を飲めば症状が治まります。

次回は胃の病気についてご紹介します。